【深掘り】古代の葬送儀礼「殯」に使用? 古墳時代の枕をテーマに特別展 - 大阪府立近つ飛鳥博物館
古墳時代の枕をテーマにした冬季特別展が3月10日まで、大阪府河南町東山の府立近つ飛鳥博物館で開かれている。当時の枕は寝具ではなく死者のためのもので、葬送儀礼を知る上で重要な資料になるといい、奈良の出土品も多く展示されている。同館の久永雅宏学芸員に見どころを聞いた。(竹内稔人)
常総地域の石枕にスポット
展示で特にスポットを当てているのが、常総地域(茨城県、千葉県北部)で作られた「常総型」と呼ばれる石枕。全国で出土した石枕約120例のうち、約6割を古墳時代中期(5世紀)の同地域の古墳が占める。
同地域の石枕は立花(りっか)と呼ばれる飾りを伴い、頭を受ける部分の周囲に段状の縁をもつ。会場には同地域の古墳から出土した石枕や石製立花、そして石製模造品の数々がずらりと並ぶ。
中でも久永さんが「最高傑作と言っていいものです」と紹介するのは、千葉県市原市の姉崎二子塚古墳(5世紀前半)の出土品。全体的に磨かれて光沢があり、彫刻が施された装飾に優れた美しい石枕だ。
石枕は殯に使用か
千葉市の石神2号墳(5世紀前半)では木棺内の北側と南側で2点の石枕が見つかっている。石枕の首を受ける部分の向きから、被葬者2人はつま先を向かい合わせで埋葬されたようだ。
注目されるのは、出土遺物の石枕や石製立花、石製模造品の一部に残っていたネズミがかんだ痕跡。ネズミが自由に出入りする期間がある程度あったと考えられ、「石枕が死者を一定期間安置する古代の葬送儀礼『殯(もがり)』に使用されたと考えられる理由となっています」と久永さんは解説する。
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