【深掘り】富雄丸山古墳木棺取り上げ - 構造示す「第一級資料」 腐食免れ、内側の形状が現存
盾形銅鏡や蛇行(だこう)剣の発見で注目を集める奈良市丸山1丁目の富雄丸山古墳(4世紀後半)で、木棺の調査が終了した。腐食しやすい木棺が状態をとどめて残る事例は少なく、木棺の構造が分かる重要な資料となった。巨大な木棺の搬出には古墳の調査では珍しい運搬用モノレールを使用するなど、安全面で万全が期された。(竹内稔人)
木棺の第一級資料
富雄丸山古墳は直径109メートルの円墳。奈良市教育委員会は墳丘北東に取り付く「造り出し」で、粘土槨(ねんどかく)と呼ばれる埋葬施設を検出。木棺はこの粘土槨で確認された。
丸太を半分に割って内部をくり抜いた「割竹形(わりたけがた)木棺」で、材は広葉樹のコウヤマキ。木棺の上半分(蓋=ふた)は全体の3割程度、下半分(身)は7割程度が残っていた。