復元東楼を間近で観察 奈良市・平城宮跡で工事現場見学会

奈良市の平城宮跡で国土交通省が進める第一次大極殿院東楼復元工事で20日、最後の工事現場見学会が行われた。参加者約60人が工事中の建物を覆う覆屋の中に入り、復元建物を熱心に見学した。
この日は工事に携わった宮大工や塗装・左官の職人らが登壇する「伝統を繋ぐ仕事」と題したシンポジウムの後、現場見学会が行われた。参加者は奈良時代の復元建築を間近で見学し、大きな柱や立派な瓦に感嘆の声を上げていた。
奈良市の大学生、斎藤亜衣さん(19)は「シンポジウムで職人さんの仕事や思いも知ることができた。金具や材料を足場から間近に観察できて感動した」と笑顔だった。
東楼復元工事は発掘調査の成果を基に2022年に開始。建物の復元工事はほぼ終わり、今後は外構や回廊などの工事を行い、25年秋に覆屋が移動すると東楼が姿を現す。工事完成は26年3月の予定。
東楼は第一次大極殿院の南正面、大極門(南門)をはさんで西楼と左右対称に設けられていた建物。続日本紀に「聖武天皇が南楼で群臣に宴を催した」と記載されていることから、東楼と西楼の2階部分で宴会や儀式を行い、天皇の権威を示す場所として使用された可能性がある。