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音羽山観音寺後藤住職の花だより - 音羽山に響くほら貝の音色 山で吹く意味は? 

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阿弥陀堂の住職を見送る後藤住職

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 平地では桜も満開を迎えようという4月上旬。この日、奈良県桜井市にある音羽山観音寺では奈良新聞社発行のならリビング主催で「念珠づくりと住職のお話」というセミナーを開催し、記者も受け付けなどを担当。久しぶりの催しに無量庵はにぎわいました。

 

 奥には来客を迎えるように、華やかなサクラの枝が生けられています。住職の庭では、寒さに強いというリュウキンカが黄色い鮮やかな花を咲かせ、長い間白いつぼみをつけていたミツマタも、黄色い花を咲かせていました。黄色い花は躍動的な春の訪れを感じさせてくれますね。

 

 「キクザキイチゲも咲いているのよ。洗心の奥にもあるわ。一昨年植えて、去年は1輪だけ咲いたのよ」

 

 セミナーが終わって参加者を見送り、スタッフで一息ついたところで後藤住職。後で洗心の奥にあるという花を探しに行きましたが、残念ながら曇ってきたため花は咲いていませんでした。春のひと時だけ見られ、天候が良くないと開かないようです。

 

 「ミヤマカタバミも咲く時期が短いのよね」

 

 花との出会いにも、運が必要なのかもしれません。記者は観音寺に月に一度上るようになって1年経ちますが、まだ出会えていない花もたくさんあるようです。

 

 無量庵で休んでいると、オサムが鳴いて本堂に参拝客が来た様子。どうもどこかのお寺の住職さんらしいと、この日手伝いに来ていた人が伝えに来てくれました。

 

 住職と一緒に本堂に向かうと、中からお経を唱える男性の声が聞こえます。ハリのある、なかなかの美声です。お経が終わって話を聞くと、同じ桜井市にある慈恩寺阿弥陀堂の住職とのこと。

 

 「ほら貝の練習をさせてもらっています」

 

 そういえば、釣り鐘の横に、布に包まれた、それらしいものが置いてありました。ほら貝は修験道などで使われる仏具ですが、山に入る時に吹き、

 

 「けものさん、どいてねという意味もあるのよ」と観音寺の住職。ちなみに「ほらを吹く」というと俗に「事実無根の大きなことを言う」という意味もあるので、「ほらを立てる」という言い方をするそうです。

 

 慈恩寺阿弥陀堂は高野山真言宗。真言宗の知識があるということも共通し、住職2人で話が弾んでいました。慈恩寺阿弥陀堂の住職は、トゥクトゥクに乗って桜井を案内するという取り組みも行っているとのこと。一度訪ねてみたいと思いました。

 

 阿弥陀堂の住職が山を下りる道すがら、ほら貝の音色が音羽山に響いていました。

 

音羽山観音寺

山の中にある尼寺。桜井市南音羽。

JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。

火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門

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