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音羽山観音寺後藤住職の花だより - 石油ストーブの前で聞く住職の昔ばなし

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オサムを優しい表情で見つめる住職

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 すっかり冬の気配に変わった、12月半ばの奈良県桜井市の音羽山観音寺。なかなか寒い庭に出るきっかけもなく、石油ストーブの前で後藤住職の昔ばなしを聞かせてもらいました。

 

 11月17日には毎月のご縁日に加え、お葉付きイチョウを観る会が開催され、記者も参加しました。その日の勤行では、後藤住職の横にもう一人男性の僧の姿がありました。その僧について尋ねました。

 

 「お師匠さんの寺の、今の住職よ。兄弟弟子ね」

 

 住職のお師匠さんの寺は室生三本松にあるそうです。4月の大般若会など、大きな法要の時には手伝ってもらうとのこと。

 

 観音寺は融通念仏宗の寺。後藤住職にも弟子がいるそうで、その関係は一生続くそうです。以前、住職は高野山の尼僧学院で学んだと聞きました。高野山は真言宗のはずですが…。

 

 「観音寺の留守を守っていた先々代の住職の奥さんから、『高野山を降りたら来てね』って言われてたのよ」

 

 尼僧学院にいる時から、観音寺をよく訪れていたという住職。融通念仏宗は真言宗と違うところも多くあるそうで、異なる宗派の寺に入る決心はなかなか付かず、卒業しても4年ほどは高野山に残ったそうです。

 

 融通念仏宗でも、得度しただけでは住職にはなれず、修業をして「教師」という資格を取る必要があるとのこと。資格を取るのに最短でも8年は掛かります。住職も、改めて修業し直したそうです。

 

 「最初から融通念仏宗だったら、檀家のない寺には来られなかったかもしれないわね」

 

 観音寺は奈良時代の創建とも伝わる古い寺。古すぎて、檀家を持っていません。

 

 「真言宗でも学んでいたから、生活していくすべを考えたら良いと思ったの。護摩も焚けるし、眼病平癒の観音様だから、祈祷もできるしね」

 

 どこまでも前向きな住職は、観音寺に来る前から変わらないようですね。

 

 ちなみに、「密榮」という名前は、高野山のお師匠さんの名前をもらって付けたそうです。さらに、料理が得意な住職ですが、その基本は高野山にいる時、宿坊で精進料理を学んだことだそう。

 

 「ここに来てからは、ここにある材料を使って応用しているのよ」

 

 どんな経験も、無駄にはなりませんね。

 

 

 

音羽山観音寺

山の中にある尼寺。桜井市南音羽。

JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。

火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門。

※1月17日の初観音のご縁日のあと、2月末まで冬季閉門となります。

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