猿沢池にモツゴとスジエビ放流 奈良市・興福寺「放生会」 近畿大学農学部の北川教授の研究室と連携
奈良市登大路町の興福寺(森谷英俊貫首)で17日、殺生を戒め命に感謝する仏教行事「放生会(ほうじょうえ)」が営まれた。
猿沢池に魚を放す儀式では、2020年から近畿大学農学部の北川忠生教授の研究室と連携。生態系に配慮し、同研究室の学生らが事前に猿沢池で採取した在来種のモツゴ約300匹やスジエビを放流した。森谷貫首ら同寺の僧侶が境内の一言観音堂で法要を営んだ後、おけに入ったモツゴを池に放った。続いて参拝者と市立椿井小学校の児童らも放流した。
同研究室は猿沢池の生物調査や健全な生育環境の整備に取り組んでおり、同寺南円堂の古瓦を使った人工漁礁を設置するなど、在来種を増やす活動を進めている。北川教授は「学生らには伝統行事と生物の多様性の共存を主体的に学んでもらいたい」と話した。