奈良県内4商工会議所会頭 新春紙上座談会 - 難局を乗り越え奈良県経済を元気に
大和高田商工会議所 河村 憲一会頭
橿原商工会議所 佐藤 進会頭
生駒商工会議所 鉄東 貴和会頭
新型コロナ禍からの経済再建が進み、インバウンド(訪日外国人)が回復基調の一方、円安や原材料、エネルギー価格の高止まり、物価高、人手不足など日本経済を取り巻く状況は決して楽観視できない。働き方や仕事の効率化での変革も求められ、小規模事業者には厳しい局面が続く。県内4商工会議所の会頭に県内企業活性化の道筋や県経済の展望などを紙上座談会の形式で語ってもらった。(文中敬称略)
―この一年の地域での取り組みを教えてください。
小山 県は多くの歴史的・文化的資源を有し、年間約3千万人が訪れる観光地だが、宿泊につながらずに観光消費額が少ないことが長年の課題。当会議所は「奈良まほろばソムリエ検定」の実施など産官学連携の観光振興に取り組んできた。その中で地域資源をSDGs(持続可能な開発目標)の視点から再評価したラーニングツーリズム「奈良SDGs学び旅」を開発した。
これは奈良教育大学等と連携した、奈良の世界遺産などを新たな視点で捉えて歴史、文化とSDGsを体感できる観光商品。県の歴史・文化と学習の相性の良さに着目し、修学旅行を主対象に旅の「マエ」「ナカ」「アト」を通して地域の魅力や課題を再発見できるパッケージとした。ここから一般の観光客、インバウンド向けの観光商品、事業者向けのSDGs体感プログラムも開発。県全体の観光振興へ広がりつつある。
河村 2024年度からの経営発達支援計画に基づき、経営の安定化と持続的な成長のための各種伴走型支援事業を積極展開している。新たなものでは昨年3月に当会議所、大和高田市、日本政策金融公庫奈良支店の3者間で「事業承継支援の推進を目的とした連携覚書」を締結した。事業承継問題が理由の廃業、撤退が年々増加傾向であることへの対応で、県事業承継・引継ぎセンターとの密接な協力体制を構築し、事業承継関連の課題解決に取り組んでいる。この「大和高田事業承継ネットワーク~未来への架け橋~」が早期に中小企業・小規模事業者に浸透し、機能することが、地域経済の持続的な成長と発展につながると信じている。
佐藤 前会頭が積極推進していた「ビジネスマッチなら」は、本年度から県内四つの商工会議所と県商工会連合会の連携展開となった。販路拡大(商談会)事業では事業者とバイヤーとの接触機会や、地域事業者の商品を売り込むことができる仕組みを構築。人材不足解消では雇用マッチング会の開催や、地域ブランド創出での橿原ブランド認定事業も展開している。
新たに従業員の生産性向上、持続的な成長を実現するための健康経営も推進。自然災害の頻発化に対して中小・小規模事業者の災害対応力を高める事業継続計画(BCP)策定の拡大にも取り組んでいる。
鉄東 昨年度から生駒市と連携し、市版エコノミックガーデニング「EGいこま」を推進。市内小規模事業者が主対象の伴走型支援や専門家によるコーディネート事業、制度改正などに伴う講習会やセミナー、新たな出会いの場を提供するビジネス交流会などを実施している。また「ビジネスマッチなら」で事業所の販路開拓を支援している。
市内事業者の販路開拓や販売促進、情報発信では、近畿日本鉄道との新マルシェ事業「電車deいこマルシェin大阪上本町駅」や、駅前商店街でのにぎわい創出につなげる「生駒駅前ワンコイン商店街」「チャレンジマルシェ~2024~」を定期的に開いている。
生駒駅南口周辺のまちづくりでは生駒市、市民らで構成する「生駒駅南口エリアプラットフォーム」に参画。地域事業者への経営支援の指針となる国の「経営発達支援計画」と県の「事業継続力強化支援計画」が今年3月末に期限を迎えることから、中小・小規模事業者の経営基盤強化、持続的な成長支援のため、次年度から3年間の新たな計画を策定している。
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