金曜時評

大丈夫か自民奈良県連 問われる井岡・池田氏 - 論説委員 甘利 治夫

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 政治決戦といわれる参院選まで2カ月余りとなった。昨年の衆院選に続き自民、公明両党の与党過半数割れが取り沙汰され、各党しのぎを削る戦いとなる。奈良県内では、参院選と同日選になる県都・奈良市の市長、議員選挙も、連動した形で関心が高まっている。

 

 そんな中、過半数だった県議会の自民党会派が分裂した。「自民党・無所属の会」から、議長経験のある岩田国夫氏、山本進章氏ら6人が離脱し「自民党倭(やまと)」を結成した。それでも「自民党・無所属の会」は16人と最大会派だが、過半数を割った。

 

 表面的には山下真知事によるK―POP予算の対応を巡って、意見が分かれたという。しかし「6月議会の議長選が要因」であることは大方の見方だ。離脱した6人が、日本維新の会や立憲民主党所属の議員らと連携しようという思惑が透けている。しかも政治決戦の参院選の渦中にだ。戦う相手との連携など、心ある党員らは「信じられない」気持ちだ。

 

 このことは奈良市の市長、議員選にも影を落とす。市長選には現職をはじめ、いまだ誰一人名乗りを挙げていないが、水面下でいろいろ動きがあり、複数の名前が聞こえてくる。そのなかで、新斎苑を完成させるなど実績を重ねてきた現職の仲川元庸氏や支持する議員に対し、圧力が目につく。

 

 現在49歳の仲川氏は4期目で、多選批判もあるが、年齢的には最も働き盛りともいえ、隣の大和郡山市の上田清市長は73歳で7選を目指している。同時期に選挙戦もある。多選の弊害はあろうが、一律とはいえまい。誰が名乗りを挙げるにせよ、市民のために働く人を市民が選べばいいことだ。

 

 それだけに2派に分かれている市議会の自民党系議員は、現在の市支部長の土田敏朗氏が今期限りで引退し、後任は選挙後に太田晃司氏が内定しているという。何が市民のためなのかという、両氏に責任ある行動が求められる。

 

 分裂した県議会も、依然最大会派の「自民党・無所属の会」には県連幹事長の井岡正德氏、政調会長の池田慎久氏がいる。同党に逆風が吹くなかで、直面する参院選にどう対応するか、どこまで両氏が汗を流すかを見られている。そして県都決戦となる市議選は、これこそ政党対決となり、各党が走り出している。参院選とともに党の消長をかけた重要な選挙に、県連会長は候補者本人だから、県連幹部の井岡、池田両氏の責任は大きいはずだ。

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