圧巻の巨大壁画でたどる、玄奘三蔵の旅路 奈良市の薬師寺で5月6日まで 平山さんの「大唐西域壁画」など3作品公開

奈良市西ノ京町の薬師寺は、春の特別拝観「三大壁画特別公開~三蔵法師の旅を描く~」で、日本画家の平山郁夫さんの「大唐西域壁画」(玄奘三蔵院伽藍=がらん)、同じく田渕俊夫さんの「阿弥陀三尊浄土図」を中心とする「仏教伝来の道と薬師寺」(食堂=じきどう=)、元内閣総理大臣の細川護熙さんの「東と西の融合」(慈恩殿)を公開している。6日まで。
玄奘三蔵院伽藍の「大唐西域壁画」は、2000年に平山さんから奉納された7場面全長49メートルの大壁画。「西遊記」の三蔵法師のモデルで法相宗の教えを中国・唐に伝えた高僧玄奘三蔵が旅した中国の長安からインドのナーランダまでの風景を描く。
食堂の「阿弥陀三尊浄土図」は6メートル四方の画面に阿弥陀如来と観音・勢至菩薩が描かれ、周囲の「仏教伝来の道と薬師寺」は中国から遣唐使船が仏教を日本に伝え、飛鳥から藤原京、平城京へと至る旅を14面全長50メートルで表現。
慈恩殿の「東と西の融合」はふすまや壁、欄間を飾る全66面で総長約157メートル。玄奘三蔵のシルクロードの旅をイメージし、悟りの象徴である菩提(ぼだい)樹を中心に、多国籍の人々や動物、飛天が描かれる。同殿では、手塚治虫さん、藤子・F・不二雄さんら漫画家により奉納された「稚児散華」の原画も特別に公開中だ。
兵庫県三田市の大芝出さん(67)は「平山画伯の絵は壮大。命がけのインドへの旅で仏様を求める強い気持ちを感じた」と話していた。
拝観時間は午前9時~午後5時。特別公開拝観料は大人千円、中高生500円小学生100円。白鳳伽藍拝観料が別途必要。問い合わせは、同寺、電話0742(33)6001。