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展覧会注目の一品【3】 戦争に夢絶たれた翼 - 金属製メダル・第1回全日本帆走飛行競技大会参加章

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種子さんが大切に保管していたイカロスのメダル

金属製メダル・第1回全日本帆走飛行競技大会参加章

  • 個人蔵(奈良文化財研究所へ寄贈手続き中)
  • 1937(昭和12)年
  • 生駒時計店制作

 

 日中戦争の2カ月前、1937(昭和12)年5月に生駒山で開かれた第1回全日本帆走飛行競技大会の参加者に配られたメダル。同じデザインの陶製プレートが、薬師寺境内の発掘調査で出土しており、プレートの調査をきっかけに現物所蔵者が見つかった。

 

 持ち主は、当時大阪の羽衣高等女学校の学生だった伊達(旧姓野口)種子さん(1921〜99年)。グライダークラブに在籍し、同大会にはパイロットを目指す女学生として手伝うため参加したとみられる。

 

 大会後の戦争で少年飛行兵の育成が重要視され女性である種子さんの夢は絶たれたが、メダルを生涯大切に保管し亡くなる前に娘に託したのだという。戦争で羽ばたくことができなかったもう一つの翼の物語が悲しく光る。

 

(伊藤波子)

 

 ◆メモ

 奈良文化財研究所平城宮跡資料館の夏季企画展「イカロスの翼」で出品中。10月1日まで。 

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