展覧会注目の一品【2】 波打つ衣の表現繊細 - 文殊菩薩騎獅像
文殊菩薩騎獅像(国重要文化財)
- 大智寺(木津川市木津雲村)
- 鎌倉時代(14世紀)
奈良時代、高僧・行基が木津川に架けた泉大橋の橋柱から造られたと伝わる。文殊菩薩の化身とされた行基信仰と密接に関わっていると考えられる。
左手に蓮(はす)、右手に剣を持ち、片足を下した姿は、安倍文殊院(桜井市阿部)の文殊菩薩騎獅像(快慶作)を手本にしている。波打つ衣の表現が繊細で美しい。獅子座は後補で江戸時代ごろの制作とみられる。
エックス線CTスキャン調査によると、小さな文殊菩薩像を納めた厨子(ずし)が布にくるまれた状態で首のあたりに確認された。持ち主が生前持ち歩いていた小像とみられる。水晶軸の巻物なども多数見つかっている。(伊藤波子)
◆メモ
奈良国立博物館の特別展「聖地南山城―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―」で出品中。9月3日まで。