大和古寺・お参り日記【28】 - 円成寺(下)
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現在の本堂(国重要文化財)は焼けてしまった平安時代の阿弥陀堂を再現し、室町時代に再建された。正面の階段を挟んで両側に舞台を設けた全国でも珍しい構造の寝殿造り建物だ。
本堂が再建当時の姿で今も残る背景には、歴代住職や地域の人々の並々ならぬ尽力があったという。
田畑祐弘住職によると、明治時代以降は雨漏りがひどく、現状維持さえ難しい状態だった。父で先代住職の田畑賢住さん(故人)は「歴史的に価値のある大切なお堂」と訴え続け、賛同者や支援者も現れ、1952(昭和27)年、国の重要文化財に指定された。その結果、昭和30年代に解体修理が実現したという。
中に入ると、天井まで非常に重厚で凝った造りであることが分かる。暗い堂内から歴史の足音が聴こえてくるようだった。
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