探訪ナビ ならまちエリア - 人気の観光スポット 「上街道」散策
世界遺産・元興寺の旧境内を中心とした地域を指す奈良市の「ならまち」。中近世には商業の発展で繁栄。中でもならまちを南北に貫く幹線道路「上街道」は、長谷寺・伊勢神宮参詣の道としてもにぎわった。そして現在も江戸時代から昭和初期にかけての町家の面影が残り、観光スポットとして人気を集める。
町家の面影、随所に
文化財指定の歴史的建造物
上街道の散策は、文化財指定を受けた歴史的建造物が見どころの一つ。
18世紀後半ごろに建てられた「藤岡家住宅」は、奈良の町家の典型として国の重要文化財に指定されている。
登録有形文化財の「田村青芳園茶舗店舗兼主屋」(江戸時代後期)、「吉田家住宅主屋」(明治時代前期)、「木奥家住宅」(中央棟は1820年築)―などもあり、大型町家の風格のある構えや、虫籠窓(むしこまど)を配した洗練した意匠を見ることができる。
歴史的な町家の面影が残る上街道
願掛けの狛犬がある御霊神社
桓武天皇の勅命で800(延暦19)年に創建された神社。奈良時代の光仁天皇の皇后、井上内親王など悲運に見舞われた皇族など8人を祭る。地域の氏神として古くから疫病退散などで信仰を集めてきた。
鳥居前の狛犬(こまいぬ)の足にはひもが結び付けられている。江戸時代から伝わる願掛けで、家出人の足が止まるように、子どもが神隠しに遭わないようにと祈願された。現在は縁結びや商売繁盛を願ってひもが結ばれている。
願掛けで足にひもが結びつけられている御霊神社の狛犬
奈良時代がしのばれる塔跡
上街道沿いの住宅に囲まれた一角。奈良時代の遺構を残し、往時がしのばれるのが元興寺塔跡(国史跡)。高さ推定約50メートルの五重塔だったが、幕末の1859(安政6)年に焼失した。塔跡には現在、基壇の上に礎石が規則正しく並んでいる。
屈曲する上街道
ならまちを南北に貫く上街道は、元興寺旧境内の中心部付近で道がクランク状に屈曲する。直線が基本の上街道の中で不思議な箇所だ。
そこに位置する「奈良町物語館」では、過去に建物の改修で礎石を検出。ここはかつて元興寺の金堂があった場所だった。創建当初の寺は度重なる火災で次第に衰退。後世に金堂跡の遺構を避ける形で道が造られたたため、上街道は屈曲しているという。
元興寺金堂があった場所を避けて道路が屈曲している上街道
観光施設も点在
上街道沿いには観光・文化施設も点在。特産品も販売する観光案内所「奈良町情報館」、当時の暮らしや文化を体感できる「奈良町にぎわいの家」(登録有形文化財)、奈良町の伝統的な町家を再現した「奈良市ならまち格子の家」、観光案内所や食堂、カフェを併設した複合施設の奈良町南観光案内所「鹿の舟」―が観光客を迎える。
街道沿いには飲食・物産店も多く、散策の魅力を深めている。
足を延ばすと
「ならまち」から上街道を南へ足を延ばすと、椚(くぬぎ)の大木の横にたたずむ社がある。「椚神社」だ。江戸時代には奈良町の南口惣門のかたわらに椚の大木があったといい、奈良の南玄関を象徴する存在だった。
椚神社からさらに南に進んだ道路脇には、上街道の名残りを示す石灯籠も並んでいる。
上街道沿いにある椚神社
協賛(順不同)
一般社団法人奈良経済産業協会、桶谷ホールディングスグループ、菅原天満宮、喜光寺、共同ハウジング株式会社、前川機械株式会社、戸尾建築設計事務所・戸尾行政書士事務所、海龍王寺、正暦寺、阿弥陀寺、大和郡山市観光協会、藤本建設、農産物直売所旬の駅トドロキタウン店、ル・ベンケイ、和北堂谷村丹後、生駒山宝山寺、とびやま不動産、張替本舗金沢屋北和店、信貴の湯、信貴山のどか村、信貴山朝護孫子寺、奈良元林院検番演舞場「伝統芸能保存会」、天理市、長岳寺、株式会社イチクリ、株式会社ICHIKEN、上牧町、ワンダーリフォーム、花nosode、タナベ、なこうど小町、大仏館