天人舞う美しい光背、6年ぶり戻る 奈良・喜光寺の本尊、100年ぶりの修理完了
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胎内に写経3000巻を納経
奈良市菅原町の喜光寺(山田法胤住職)で19日、今年1月に修理が完了した本尊阿弥陀如来坐像(国重要文化財・平安時代)の光背が組み上げられ、本尊の胎内に約3千巻の写経が納められた。
本尊の修理は前回の大正時代から約100年ぶり。本尊の総高は588・7センチで総修理費は約1億3千万円。補助金を除いた寺負担金3割の一部は信者による写経勧進によってまかなわれた。修理は本体、台座、光背の順に2019年から奈良国立博物館内の美術院で行われ、光背は6年ぶりに同寺に戻った。
偶然に発見された欠損部分
江戸時代中期に製作されたとみられる木造の漆箔の光背は6割以上が破損していたために予想図から復元する予定だったが、復元作業前に美術院の担当技師が薬師寺の倉庫(奈良市西ノ京町)で破損部分の一部を偶然に発見。発見部分により復元予想図よりスリムな形態であることや宝塔が取り付けられていたことがわかったという。
宝塔の周辺や向かって右下の部分などは実際に見つかった破片を戻して修理された。天人が楽器を持って飛ぶ姿を表した平安様式の美しい光背が本尊の背後に安置された。
4月12日に開眼法要
午後からは、山田住職による法要が営まれた後、修理のために寄せられた約3千巻の写経を本尊の胎内に納める作業が行われた。山田住職は「ご本尊の修理が無事に完成して感無量です。行基さんの思いを感じていただきたい」と話した。 今後は足場の解体などが行われ、22日から参拝が可能となる。完成を祝う開眼法要は4月12日に営む。