音羽山観音寺後藤住職の花だより - 住職がスマホを取り出し「私もたまには撮ろうかしら」
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冬を迎えた奈良県桜井市の音羽山観音寺。後藤住職は「今日は参拝者は少ないかな」と話していましたが、小春日和になった12月中旬のこの日、昼前から参拝者の姿が。午後からも数組の参拝者がやって来ました。
最初に上ってきたのは、埼玉から車で来たという夫婦。
「奈良に来て、まず一番最初にここに来た」と言います。
「正直、こんなに大変とは…」
初めて上って来る人の多くが持つ感想のようです。
「住職、お元気そうで」という言葉に「口は元気よ」と応える住職もいつも通りです。
午後からはカメラを持った男性も。お葉付きイチョウの木は葉が散っていますが、落ちた葉が黄色のじゅうたんのように境内を彩っています。モミジは赤みがかった黄色、濃い緑のヒノキが青い空に映えて良い写真が撮れそうです。
「私もたまには撮ろうかしら」
住職が取り出したのはスマートフォン。電波のなかなか通じにくい観音寺です。住職のスマートフォンはほぼカメラとして使われているようですね。
「モミジがどんどん大きくなってるわ」
ほとんど葉のなくなったお葉付きイチョウに重なるように、紅く色づいたモミジが見えます。
「イチョウの洞(うろ)に葉がたまって腐葉土になって、そこにモミジの種が落ちて生えたのかしら」
なるほど。よく見ると、イチョウの木の途中からモミジが生えているように見えます。
「宿り木のようですね」とカメラの男性。
「この時期にしか見られないのよ」
確かに、イチョウの葉が生い茂っている時期は見えず、モミジの葉が散ってしまっても見られない光景です。
「この時期は花はないけど、実ものがあるわね。この間までマユミがあったんだけど、中の実を鳥に食べられちゃったわ」
鐘つき堂の近くに、かわいいピンク色の植物がありました。言われてみれば、中がなくなっているのでしょうか。
「あら、ユキワリイチゲの葉っぱが出ているわ」
記者にはまったく見分けがつきませんが、納経所の横の草木の中を見て住職が言います。名前の通り、雪の季節に出てくる花とのこと。冬を迎えている観音寺境内に、春を待つ植物たちも密かに顔を出しいるようですね。
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽。
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。
火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門
※2月末まで冬季閉門中