神秘を宿す鏡をまつる 古代の鏡づくり工人が住んだ地に鎮座 - 鏡作神社・大和古社寺巡礼019
鏡作神社(鏡作坐天照御魂神社)
※社寺名は、基本的に現在使われている名称によりました。
※( )内は、神社は『延喜式』神名帳による表記、寺院は史料にみえる表記です。
※記事中の写真の無断転載を禁止します。
鏡作(かがみつくり)大明神とも称され、古代から鏡の製作技術集団・鏡作部の住む地に鎮座し、崇神天皇の御代に作られた内侍所(ないしどころ)の神鏡の試鋳の御鏡を、天照国照彦火明命(あまてるくにてるひこほあかりのみこと)と称(たた)えて祀(まつ)る古社。
エリア/磯城郡
主祭神/天照国照日子火明命・天糠戸命・石凝姥命
ご神徳/開運厄除・技能向上・仕事運
ご由緒
第10代崇神天皇の御代に、皇祖神・天照大御神を同殿共床でお祀りすることは恐れ多いこととして、皇居の外に祀られることとなりました(天照大御神の御魂代の八咫鏡<やたのかがみ>は、初め豊鍬入姫命<とよすきいりひめのみこと>に託され笠縫邑で祀り、垂仁天皇の御代に倭姫命<やまとひめのみこと>が祭祀の地を求めて各地を巡り、伊勢の神宮に遷<うつ>られます)。
そして皇居内には新たに内侍所の鏡が作られることとなり、鏡の製作技術を持つ鏡作部が鋳造します(社伝では崇神天皇6年9月3日)。その際に試鋳された御鏡を天照国照日子火明命と称えて、鏡作部の居住地である現在の鎮座地・鏡作郷に祀ったのが創祀(そうし)と伝えられています。
天照国照日子火明命は、天照大御神の孫であり、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の兄神です。物部氏の遠祖の饒速日命(にぎはやひのみこと)であるともされ、同社の鎮座地は物部氏の関係する倭鍛治(やまとかぬち)の鍛冶部の地でもありました。
一方、天照国照日子火明命とともに祀られている天糠戸命(あめのぬかどのみこと)とその御子神である石凝姥命(いしこりどめのみこと)の後裔(こうえい)が鏡作連(むらじ)で、この地には刀剣などの鍛造と鏡などの鋳造の技術集団が存在したと思われます。
『先代旧事本紀』の「天孫本紀」には饒速日命の子孫に物部真椋連公を記し、その弟として物部鍛冶師連公を挙げて、「鏡作(連)・小軽馬連等の祖なり」としており、鏡作と物部氏の関係がうかがえます
『古事記』の天石屋戸(あめのいわやと)神話には、「天の安河の河上の天の堅石を取り、天の金山の鉄を取りて、鍛人天津麻羅(かぬちあまつまら)を求ぎて、伊斯許理度売命に科せ鏡を作らしめ…」と、ご祭神の一柱、石凝姥命(伊斯許理度売命)が鏡を作ったことが記されています。
主祭神
天照国照日子火明命(あまてるくにてるひこほあかりのみこと)
天照大御神の孫で、瓊瓊杵尊の兄神。物部氏の遠祖・饒速日命(『先代旧事本紀』では天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊)ともされます。ちなみに尾張氏の遠祖は天火明命。
天糠戸命(あめのぬかどのみこと)
『日本書紀』の天石窟(あまのいわや)神話(一書の二)で、「鏡作部の遠祖天糠戸者をして鏡を作らしむ」と記された神。
石凝姥命(いしこりどめのみこと)
『古事記』の天石屋戸神話で「天の金山の鉄を取りて、鍛人天津麻羅を求ぎて、伊斯許理度売命に科せ鏡を作らしめ」と記された神。天糠戸命の御子とされる女神。
境内参拝・気が付かなければ…
※📸は撮影ポイント
※スマホを見ながら散策できるように、モデル順路
大鳥居 📸
大鳥居の社号額には「正一位鏡作大明神」と記されています。
鏡石
背後の鏡池から出土した、鏡作りの道具だと伝えられる石造物。鋳造された鏡の鏡面を、この石の鏡形のくぼみに置いて研磨したとされています。
手水
手水鉢は弘化3(1846)年に「大阪鏡屋中」から奉納されたもので、今も当社は鏡関係の人々からの崇敬を集めています。
まず手水をとって、心身を清めてお参りしましょう。
鏡池
手水鉢の後ろには、鏡石が発見された鏡池があります。鏡の鋳造に際して、この池で鏡を洗い清めたと伝わります。
社寺の境内には鏡池が存在することがありますが、その池からは古い鏡が見つかるなど、信仰の対象であったことがうかがわれることも多いようです。
鏡をデザインした石燈籠 📸
参道の左手に、柄の付いた手鏡をシンプルにデザインした鏡作神社ならではの石灯籠が建っています。
狛犬
拝殿の前では凛々(りり)しくも親しみのあるお顔の狛犬(こまいぬ)が、参拝者を迎えてくれます。
拝殿
一対の狛犬と灯籠の向こうに拝殿があります。
国内で発掘された最大級の内行花文八葉鏡を再現し鋳造された御鏡が奉納され、拝殿内に奉安されています。
拝殿の前で 二礼二拍手一礼のお作法で参拝
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