西洋の神との比較でみる日本の神々 - 特別編・大和古社寺巡礼024

西洋の神との比較でみる日本の神々
日本古来の神祀り
現代の日本では「自分は無宗教だ」と言う人が多いようですが、江戸時代には寺請け制度によって寺院の檀家になることを義務付けられた歴史もあって、国民の多くが仏教徒であるといえるのかも知れません。しかし仏教の教えをどこまで知って実践しているかといえば、まさに千差万別だとも思えます。
また自分の宗教は神道だという人も少ないようです。しかし今もお正月には玄関に注連(しめ)飾りを付け、床の間などにお鏡餅を飾る家も多く、人々は神社に初詣をして雑煮を祝います。小正月にはトンドが焚かれ、春や秋の氏神の祭りにも参加します。お宮参りなど人生の節目にはさまざまな行事が行われ、また建築工事などに先立っては地鎮祭も行われます。


実は生活の一部になりきっているので、それと意識せず行っているこれらの行事が神道、日本古来の神の祀(まつ)りだといえます。
日本には神仏習合の歴史もあり「神も仏も」の国ですが、今回は日本の神々について西洋の神との比較において考えてみたいと思います。
一神教と多神教
世界にはさまざまな宗教があります。そのなかで多くの民族によって信仰され「世界宗教」とされているのはキリスト教、仏教、イスラム教です。なかでもキリスト教は、西洋諸国を中心に地球の人口の約3割を占める最大の宗教です。
日本の宗教に神仏習合などの要素があるように、西洋諸国にもキリスト教以前の宗教の伝統もあります(例えば古代ケルト民族や、いわゆるゲルマン民族の固有の宗教。これらは日本と同じように、自然崇拝や祖先崇拝の宗教であったとされています。またクリスマスは、ローマ帝国などに見られた太陽信仰による冬至の祭りが、キリスト教と早い時期に習合したものと考えられています)。しかしここではキリスト教の神を西洋の神の代表として、その比較を通じて日本の神を考えます。