江戸時代前期の僧、袋中(たいちゅう)上人…
江戸時代前期の僧、袋中(たいちゅう)上人は、琉球(沖縄県)で浄土宗を布教したことで知られる。沖縄の伝統芸能「エイサー」は袋中上人が伝えた念仏踊りが起源とされる。
琉球から帰った後、袋中上人は関西で活動。1622(元和8)年には、現在の奈良市漢国町の「山の寺」念仏寺を開創した。
袋中上人が奈良に移住した理由は元興寺の「智光曼荼羅(まんだら)」を拝するためなど諸説ある。その後、同寺を拠点に浄土教の枠を超え、仏法興隆を目指して精力的に取り組む。
同寺は袋中上人の死後も奈良町にある都市霊場として成長。都市民衆からの信仰を集め、南都の仏教文化の一翼を担った。
1300年の都・奈良はともすれば東大寺や興福寺など、古代寺院にのみ注目が集まる。が、念仏寺をはじめ中近世寺院の活動があってこそ現在の仏都・奈良がある。
今年開創400年を迎えた念仏寺では先月21日、慶讃法要が営まれた。きょう13日まで、同寺本堂特別拝観のほか、元興寺法輪館や市史料保存館で袋中上人に関する展覧会が開催されている。(法)