奈良の薬師寺・花会式「お花取り」 本尊に備える造花を1年かけ準備 増田家と橋本家が丹精込めて

奈良市西ノ京町の薬師寺で25日から営まれる花会式(修二会)で、本尊に供える造花を代々作る家から僧侶が寺まで運ぶ「お花取り」が17日、行われた。
花会式は1107(嘉承2)年に堀河天皇が皇后の病気回復を修二会で祈り、感謝の気持ちを込めて造花を供えたのが始まり。以来薬師寺修二会は花会式と呼ばれる。かつて行にこもる僧侶が作っていた造花は、明治時代から寺と関わりが深い同市内の増田家と橋本家の2軒が担い、平安時代から続く法要を支え、計1696本の造花が供えられる。
この日は、3人の僧侶と奉仕する青年衆らが増田家を訪れて仏壇にお経をあげた後、壊さないように竹に吊るしたりした色とりどりの造花を雨天のため車で運んだ。橋本家の造花はきょう18日に運ばれる。
10種の造花のうち、桃、桜、杜若(かきつばた)、百合(ゆり)の4種類を手掛ける増田家では無事に仕上げられるよう健康に気を配りながら約1年かけて準備をするという。
増田茂世さん(62)は「いつもお薬師さんに見守っていただいている感謝の気持ちを込めて花作りをしている」と話していた。
寺に運ばれた造花は木の枝に差し込んで準備され、金堂内に飾られる。
花会式で行にこもる練行衆(れんぎょうしゅう)は次の通り。(敬称略)
大導師=加藤朝胤▷咒師(しゅし)=高次喜勝▷堂司(どうつかさ)=生駒基達▷大衆=松久保伽秀、小林澤應、村上定運、中村随輝、山田瑛照、松久保了善、小倉達洞