【写スポーツ】チーム天理、一丸でゴール目指す - 子ども駅伝大会
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「市町村対抗子ども駅伝大会」(同実行委員会主催、奈良県、39市町村など共催、奈良陸上競技協会主管、奈良新聞社など後援)が3月8日、橿原市雲梯町の橿原運動公園で開催される。子ども達の体力低下が指摘される中、長距離走の普及を通して子どもの体力向上を図り、スポーツ全般に必要な基礎体力や連帯感を養うことを目的に、県や市町村などが協力し2005年度から始め、今年度で20回目を迎える。大会を控え、練習に励む天理市の子ども達を取材した。
冬の風物詩と多くの人に親しまれている駅伝。その歴史は古く、「日本書紀」に痕跡が見られる。飛鳥時代から奈良時代にかけて、使者と馬が中継所をつないで中央の文書を各地に送る「駅制」に由来。競技としては1917年に開催された「東京奠都(てんと)五十年奉祝東海道五十三次駅伝競走」が始まりと言われている。東西2チームが京都―東京間約500キロを23区間に分け、昼夜問わず3日間走り続けた。スタート地点となった三条大橋(京都市)の東詰北側に記念碑がある。
現在、京都市内では毎年12月に高校駅伝、1月に女子駅伝など全国規模の大会が行われている。昨年の高校駅伝は県から男女とも智弁カレッジが8年連続8回目の出場を果たし、男子は42・195キロを7人、女子は21・0975キロを5人でたすきをつなぎ、都大路を疾走した。任された区間を1人で走り切るという自分との戦いである一方、チームで戦う団体戦。一丸となってゴールを目指す姿に憧れる子どもたちも多い。
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「かけぬけろ タスキでつないだ絆と共に!」を合言葉に3月に行う「子ども駅伝大会」は、それぞれの市町村から出場する代表が、コースとなる男子3区間、女子3区間の6区間、総距離9780メートルを1本のたすきに思いを込めてゴールを目指す。昨年はコロナ禍の中止を挟んで五條市が5年ぶりに優勝した。
天理市では20回大会に向けた出場者募集時、駅伝メンバーの対象となる市内の小学校に通う5、6年生に加え、初めて育成枠として4年生にも呼びかけた。24人が応募、市陸上競技協会の福田真吾さん(48)が監督を務め、昨年11月16日から毎週土曜、長柄運動公園内のグランドで練習している。今月1日には出場選手男女合わせて8人が決まった。
福田監督は「勝敗もさることながら、さまざまな運動を経験し体力向上を」と話す。もちろん、楽しくなければ長続きはしない。古くから子どもに親しまれポピュラーな「鬼ごっこ」を練習に取り入れるなど、遊び感覚を大事にしている。また、「代表に選ばれなかった選手も選ばれた選手をしっかりサポートし、各自責任を持って活動してほしい」とし、“チーム天理”を掲げる。
昭和世代にとっては日常の遊び“鬼ごっこ”。今日、戦術や戦略を要するルールを加えるなど、スポーツ競技としても注目されているとか。子どもたちのコミュニケーション能力やチームワークの向上などに最適と練習に取り入れている(写真は特記以外、いずれも天理市の長柄運動公園)
大縄跳びにチャレンジ。よりお互いを認め合い、息を合わせることでチーム力向上を。楽しくなければ続けられない、と工夫し練習する“チーム天理”
強い絆で結ばれたチームは、全員が代表メンバーという気持ちで昨年を上回る順位を狙う。昨年に続き代表に選出された小島愛以さん(前栽小6年)は「兄や姉も市町村対抗駅伝に出場した。私も走ることが好きで、また選ばれてうれしい」と目を輝かせた。安井寛夢さん(天理6年)は「緊張すると思うが、大会までにもっと体力をつけ楽しみたい」と力を込める。(写真・文、牡丹賢治)
チーム天理(敬称略)
監 督 福田真吾
コーチ 文田 隆
同 神田和彦
選 手 西山結人(柳本6年)
松下慶祐(天理6年)
末浪哲平(前栽5年)
安井寛夢(天理6年)
小島愛以(前栽6年)
杉田明莉(朝和5年)
平川佳澄(二階堂6年)
神田一華(山の辺6年)
市町村対抗子ども駅伝大会 歴代優勝チーム
第1回大会優勝 奈良市
第2回大会優勝 橿原市
第3回大会優勝 奈良市
第4回大会優勝 吉野町
第5回大会優勝 奈良市
第6回大会優勝 王寺町
第7回大会優勝 奈良市
第8回大会優勝 奈良市
第9回大会優勝 奈良市
第10回大会優勝 奈良市
第11回大会優勝 奈良市
第12回大会優勝 橿原市
第13回大会優勝 河合町
第14回大会優勝 五條市
第15~17回大会は中止
第18回大会優勝 奈良市
第19回大会優勝 五條市
2025年2月26日付・奈良新聞に掲載