古代氏族「ワニ氏」に迫る なら歴史芸術文化村で12月15日まで共催展 古墳時代の和邇地域を概観 円筒埴輪など初公開
奈良県天理市杣之内町のなら歴史芸術文化村で、同市との共催展「ワニ氏の源流を探る 和邇(わに)地域周辺の古墳時代」が開かれている。同市北部から奈良市南部にかけての和邇地域周辺を本拠地とした古代氏族ワニ氏の実像に、発掘調査の成果から迫っている。12月15日まで。
古事記や日本書紀によると、ワニ氏は出身女性計9人が7代の大王(天皇)のきさきとなった。葛城氏や蘇我氏とともに5世紀以降の王権に近い立場で、重要な位置を占めていたと考えられている。展覧会には古墳や集落遺跡の出土品など477点を並べる。
天理市の赤土山古墳は古墳築造後の地滑りで、墳丘に立ち並んだ姿の円筒埴輪(はにわ)が出土。埴輪10基を完全な形に復元して初公開するほか、埴輪の出土状況の実物大模型を展示。家形埴輪12点と囲形埴輪1点も全点同時初公開する。
東大寺山古墳の「中平」銘鉄剣のレプリカ▷上殿古墳の石製品や銅製やじり▷和邇森本遺跡の取っ手の付いた扉材―なども並ぶ。
奈良市南部の帯解地域周辺からは、ベンショ塚古墳の甲冑(かっちゅう)や馬具、青色が美しい柴屋丸山古墳のガラス製勾玉(まがたま)も出品している。
なら歴史芸術文化村の藤元正太主任研究員は「ワニ氏の源流を知る手掛かりとなる、和邇地域周辺の古墳時代を概観できる展示となっている」と話す。
午前9時~午後5時開館。月曜休館。観覧無料。問い合わせは同施設、電話0743(86)4420。