質問「営業や勧誘に弱く、断れません。よい方法は?」 - 我知(がち)ーお坊さんに聞いてみる(2024年10月16日)
【質問】
営業や勧誘に弱く、断り切れません。この間も健康食品を勧められ、毎月3千円支払って定期購入しています。断る方法を教えてください(40代男性)
【回答】五條 永教(金峯山寺 執行長)
【我知なヒント=断れても、断れなくても、どちらもハッピーで】
断り方って、本当に難しいですよね。中途半端な断り方をしたところで、相手はプロフェッショナルですから、簡単に押し切られてしまうでしょうし、仮に強い口調で断ってしまったとしても、おそらくは、角が立って後味が悪くなってしまうでしょうから、できることならば、そのような事態は避けたいと思ったりしてしまって、そうこうしているうちに、気が付けば、断れずに買ってしまっていた。筆者もこのような経験が何度もあります。
これは、ひょっとして、相手の人の気持ちになって考えてしまうからこそ、断れなくなってしまうのではないでしょうか。相手の人というのは、今回のご質問の場合、営業や勧誘をする側の人ということになります。つまりは、自分がされて嫌なことは、相手の人にしないようにしたいものですから、結果的に買ってしまうということになってしまうのではないかということです。
しかし、一見は、いつも断れなくて、仕方なしに買わされてしまっていて、なんだか損をしてしまっているように思ってしまいがちですが、本当にそうなのでしょうか。相手の人の気持ちになって考えることができているということですから、実はこれは、とても素晴らしいことなのではないでしょうか。まずは、そこに気付くことが大切なのだと思うのです。
では、そこに気付いたのならば、次は、相手の人の気持ちになって考えてみて、どういう風に断れば、気持ちよく、円満に諦めていただけるのだろうかということになってくるのかと思います。本当にどうしても買いたくないのなら、相手の人の気持ちになって、今回は買うことができないという理由を、決して後悔しないように、精一杯の真心で、正直に丁寧にお伝えするということになるのかと思います。その結果、後味が悪くなってしまったとしても、これは致し方のないこととして、割り切るしかないのではないかと思ったりもするのですが、いかがでしょうか。
どうしても割り切れないのなら、相手の人の気持ちになってみて、断らずに最初から買ってしまうというのも、選択肢の一つではあると思います。相手の人は、買ってもらってハッピーとなることでしょう。そのことを、質問者さまもハッピーと思えるのであれば、相手もハッピー、自分もハッピー、これも良いのかもしれません。
これは、あくまでも想像ですが、質問者さまの心の中には、本当は必要ないのだけれども、買ってあげてもいいかなぁ~、そんな気持ちも、最初から少なからずあったのではないかと思ってしまうのは筆者だけでしょうか。
なにもかも全てがハッピーというわけには、なかなかいかないのが現実ではありますが、相手の人の気持ちになってみて考えるということを軸にして、自分自身が今置かれている状況の中で、できる範囲で、相手も自分もハッピーとなることを目指す生き方を心掛けてみるというのも、とっても素敵なことのような気がいたします。
【我知(がち)ーお坊さんに聞いてみる】
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【回答者】
興福寺 辻 明俊さん
金峯山寺 五條 永教さん
秋篠寺 堀内 瑞宏さん
宝山寺 東條哲圓さん