質問「願いをかなえる方法を教えてください」 - 我知(がち)ーお坊さんに聞いてみる(2025年2月5日)
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【質問】日々のお勤めは別にして、かなえたい願い事があるとしたら、どのような事を行えば良いのでしょうか。 お寺で祈とうしてもらうのが良いのでしょうが、願い事を紙に書き出すとか、願い事のためだけに勤行するとか…。具体的に、こんなのがありますよというのがあれば、教えていただければありがたいです。(60代男性)
【回答】東條 哲圓(宝山寺執事長)
【我知なヒント=願いを明確にし、かなった姿を心の中に保ち続ける】
ご質問ありがとうございます。文面から察するに、信心のある方とお見受けいたします。願い事のかなえ方という、誰しもが知りたいと願う普遍的なテーマでありますが、お答えするのが難しくもあります。ご指摘の通り、お寺や神社で御祈とうを受けるのはとても良いことだと思いますし、僧侶の立場で申し上げれば最善策の一つかもしれません。
ご指摘の紙に書くという行為もとても大切だと思われますが、では何のために書くのでしょうか。それは、願いの明確化だと思います。私たちは日々漫然と願いを口にし、思い浮かべますが、その願いをどれほど詳細に思い浮かべることができるでしょうか。紙に書き出すことで、頭の中にある思考を外に出し、客観視することができます。自分が書き出したものを眺め、ご自身が本当には何をお望みなのか、漫然としてではなく詳細に明確にすることによって、今何をすべきなのかがおのずと見えてくるのではないでしょうか。
次に、違う切り口から願いのかなえ方を考えてみたいと思います。この「我知」を執筆している複数の僧侶は、それぞれ別の宗派に所属しておりますので、おのおの修行の仕方は異なると思いますが、私が所属している宗派の修行法をヒントにしてみたいと思います。修行法の詳細を語ることは宗教上の罪になりますので、あくまでヒントとしてご理解ください。
われわれが瞑想修行を行うとき、仏のお姿をありありとイメージします。肌の色から、どんなお召し物を着ていらっしゃるのか、手には何をお持ちなのか。そしてその仏と自分自身が同じ存在であるとイメージします。つまり、修行の結果として仏になるのではなく、自分自身が仏と同じ存在であるとの心象を心の中に保ちつつ瞑想をします。
以上のことから得られるヒントとは、結果を先取りし、願いがかなったご自身のお姿を心の中に思い浮かべるということです。願いがかなったとき、質問者さまはどのような感情を抱くでしょうか。どのような部屋で過ごし、何を食べ、傍には誰がいるのでしょうか。願いがかなった結果のご自身のありようを想像してみてください。何をすべきかは、ご自身にしか分からないことです。ご自身がどのような存在でありたいのかを明確にして、すでに願いがかなっているとの心象を心の中に保ちつつ、日々楽しみながらお過ごしください。
【我知(がち)ーお坊さんに聞いてみる】
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【掲載日】
毎月第1、3水曜日「暮らし」のページ・奈良新聞デジタル