歴史文化

【連載】奈良と富士<4>奈良の富士山ビューポイント

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富士山遠望で知られる大台ケ原

 奈良県は富士山の遠望地としても知られている。かつては富士を見ることができる最遠とも言われた地。天理市石上町の徳願寺住職、新林正真さん(53)は県内各地で富士の撮影に成功してきた。

 

 奈良の富士山ビューポイントとして最も知られるのが、日本有数の秘境ともいわれる大台ケ原(上北山村)。新林さんは「富士の宝永火口から上、5合目ぐらいから上が見えます」と話す。

 

大台ケ原から撮影された富士山(新林正真さん提供)

 

 大台ケ原から眺めると、向かって左側(北側)には南アルプスが展開する。「大台ケ原以北だと南アルプスが重なり富士が見つけにくくなります 。大台ケ原より南だと富士山が見つけやすいんです」とアドバイスする。

 

古光山(曽爾村)から雲海越しに見える富士山。古光山をはじめ大台ケ原以北では山が重なり、富士の姿が見つけにくくなるという(新林正真さん提供)

 

 一方で大台ケ原は、ドライブウェイが通行止めになる冬期は入山できない。雪山の撮影では、防寒装備とアイゼン着用が必要だが比較的登りやすい、霧氷で有名な高見山(東吉野村)や三峰山(御杖村)がお勧めだという。

 

高見山(東吉野村)の霧氷と遠くに見える富士山(新林正真さん提供)

 

 各地で撮影できるようになった要因の一つに、新林さんは天気予報を挙げる。撮影は天候に左右されるが、「精度が格段に高くなり、天気予報の雲の予測を見て自宅を出発することで、撮影の成功率が上がりました」と話す。

 

 また「排気ガスの規制が進んだことも大きい」という。「空気がきれいになったことで、月に数回見えることもあります。年間20回以上、撮影に成功した年もありました」

 

「大和富士」からも遠望できる富士

 新林さんによると、「大和富士」と呼ばれる額井岳(宇陀市・奈良市)からも富士の撮影が可能だ。山頂付近は雑木が多いが、木々の合間から、青山高原(三重県)の山並みのちょうど凹み部分に確認できるという。

 

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