底が透けて見えるとはこのことだろう。政…
底が透けて見えるとはこのことだろう。政府・与党は「ばらまき」との批判が強まっていた国民一律の現金給付を見送る方針を固めた。
政府による現金や金券の給付はこれまでにもあった。1999年の地域振興券。15歳以下と住民税非課税の65歳以上に2万円分の商品券が配布された。
麻生政権下では定額給付金、国民がコロナ禍にあえいでいた安倍政権下では特別定額給付金として全国民に一律10万円が給付された。これらの給付を何に使ったか、記憶している国民がどれだけいるだろう。
付け焼き刃の給付が国民生活の改善につながらないことは明らかだ。唯一期待できるのは政権の支持率改善だが、それを承知で給付するのは国民をばかにした話だろう。
古代ローマでは裕福な貴族が闘技場の見世物をスポンサーとなって提供、観衆にはパンや硬貨が惜しみなくばらまかれた。多額の出費を伴ったが、国民の感謝は政界での地位を固めるのに役立った。
石破茂首相が新人議員との会食に「手土産代わり」として配った10万円も今回検討された給付も根は同じ。国民を見くびってはいけない。(増)