平安から江戸へと時代が移った。新年から…
平安から江戸へと時代が移った。新年からNHKの大河ドラマ『べらぼう』が始まり、初回を楽しく視聴した。ただし、こちらに難題がある。
主人公の蔦屋重三郎についてほぼ何も知らないのだ。国学者の本居宣長の随筆集『玉勝間』の刊行に関わっているというのが唯一の知識。宣長は『源氏物語』にも詳しい。
物語としての歴史、という。実証的な事実としての歴史ではなく、事実を尊重しながらも別の世界を描き出す。さしずめ大河ドラマもその一つだろう。
この大河ドラマの第1作は『花の生涯』。1963年の放送で、自分は小学生だった。以後も断続的に見てきたが、作品の一覧表で気づいた。平安より前はない。
理由ははっきりしていると思う。この時代の歴史を物語とするのはとても難しいのだ。文献も少なく、弥生時代ともなると実証面でも難航中だ。
注目しているのは桜井市の「纒向遺跡」をめぐる研究。ここからの物語誕生を期待している。始まったばかりで恐縮だが、来年の大河ドラマは奈良にゆかりの『豊臣兄弟!』。鬼に大笑いされるだろうから、この辺で。(北)