柿食えばより良い明日へ奈良のまち―。官…
柿食えばより良い明日へ奈良のまち―。官邸に届けられた県産の柿を味わって首相が詠む一句が今年も話題を集めた。所信表明の「明日は今日よりも良くなる」にちなんだという。
昨年の一句は「観光復活奈良のまち」、おととしは「コロナ打ち勝つ奈良のまち」で、恒例となった一句から、世相をたどることもできそうだ。
令和が幕を開けた2019年には、当時の安倍晋三首相が「令和輝く奈良のまち」と詠んだ。翌年の菅義偉首相は「ふるさと思う奈良のまち」で、ネタ探しも大変そうだ。
正岡子規が法隆寺を訪ねて「柿食えば―」と詠んだのは明治時代。100年以上経た世の中で、時の首相が毎年一句ひねり出すとは思ってもみなかったろう。
和やかな時間が流れた官邸だが、外には厳しい風が吹いている。共同通信の世論調査では、岸田内閣の支持率は過去最低の28・3%、減税などの経済対策にも厳しい目が向けられた。
世論調査の結果を見る限り、政権に対する国民の不信感は相当強い。首相としては、柿の一句より「減税すれば―」と祈るように詠みたい心境だろう。(増)