家を一歩出た途端、「これは危険」と感じ…
家を一歩出た途端、「これは危険」と感じる猛暑だった。夕涼みにビアガーデンでもと店に電話を入れると、週末はお盆過ぎまで予約でいっぱいとのこと。考えることは皆同じらしい。
エアコンも扇風機もなかった時代、江戸の人々はどのように夏を過ごしていたのだろうと、杉浦日向子さんの「一日江戸人」(新潮文庫)を開いてみた。
武士や大きな店の奉公人は別にして、自営業だった多くの江戸人は、夜具を質入れするなどして金をつくり、8月いっぱい「夏休み」を取ることもできたという。
商売熱心な人でも出かけるのは朝と夕方だけ。炎天下で働く人は珍しかったようだ。行水や夕涼みで涼を取り、銭湯のフリースペースでくつろぐこともあったとか。
たらいに金魚を泳がせる、軒に風鈴、庭にアサガオ。あたふたと旅行に行くでもなく、市井に涼を求める江戸の知恵は、令和の世にも参考になることがありそうだ。
とはいえ、17日の日本列島は約200地点で35度以上の猛暑日、愛知県豊田市では39.1度を観測した。新古の知恵をフルに使ってこの夏を乗り切りたい。 (増)