ケガでもしたのか、うまく歩けない小鹿が…
ケガでもしたのか、うまく歩けない小鹿がいる。交通事故に遭わないよう保護してもらえないだろうか―。そんな通報電話をする人を見掛けた。
連絡先はおそらく奈良の鹿愛護会だろう。同会のホームページによると明治24年に創設された春日神鹿保護会をルーツに持つ歴史ある団体。
天然記念物「奈良のシカ」に関する調査研究や角切りなど伝統行事の継承を通じ、鹿と人が共存する地域づくりに取り組むのが目的で、鹿の保護育成はトップに掲げられる活動だ。
また鹿せんべい以外の食べ物は与えない、野生動物であることを認識して正しく接しようなど、鹿マナーに関する啓発や呼び掛けにも熱心。
そんな努力が市民による見守りや通報につながっているのだろう。県などが設置する看板の効果もあってか交通事故も減少傾向で、本年度の死亡事故は27頭で前年より32頭減った。
秋はオス鹿の気が荒くなる時期で観光客とのトラブルも気掛かりだが、先日は保護啓発を兼ねた鹿せんべい自販機が登場するなど新たな取り組みも進んでいる。来月は天然記念物、奈良のシカ愛護月間。(松)