桃太郎は地域の宝~奈良・田原本町 - 伝説誕生の意味を考えてみよう【ふりがな付きニュース】
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桃から生まれた桃太郎がイヌ、サル、キジを連れて鬼ケ島へ行き、悪い鬼を退治する「桃太郎」の物語は、非常に有名なおとぎ話です。
奈良県田原本町は「古事記」(※注)などの記述から、桃太郎のモデルとされる孝霊天皇の皇子、吉備津彦命が生まれ育った場所とされ、桃太郎伝説の発祥地として知られています。
しかし、全国には、ほかにもいくつか「桃太郎伝説の発祥地」と発信している地域があります。
昔話に詳しい天理大学人文学部の齊藤純教授は「各地に伝わる桃太郎伝説には歴史的に証明されていない部分や、史実より面白くした部分も含んでいますが、それぞれの地域を盛り上げようとした昔の人々の苦労を物語る貴重な歴史遺産なので、こうしたいきさつを知った上で、どの伝説も大切にしてほしい」と話します。
齊藤教授は2024年2月、田原本町阪手の青垣生涯学習センターで行われた歴史講座で田原本町はじめ愛知県犬山市、岡山県、香川県高松市など全国にある「桃太郎伝説の発祥地」はみんな、昭和初期から広く知られるようになったことを紹介。
当時の新聞記事などから分かる、それぞれの地域の事情や時代背景をもとに「大正時代に児童教育や郷土文化への関心が高まったことが、昭和の初めになって各地に桃太郎を祭る神社ができたり、桃太郎にまつわる伝説が成立することにつながった」「1920~30年代に全国の鉄道網が整備され、観光が流行したことから、みんなが訪れたい場所として、伝説のゆかりの地が注目された」と解説しました。
齊藤教授の話を聞いた田原本桃太郎会の杉本賢一会長は「地元の桃太郎伝説を田原本を盛り上げる材料として大切にするのはもちろん、桃太郎つながりで縁のある全国各地の伝説も大事にしたい」と話しました。
同会は桃太郎とかかわりのある全国の団体や桃太郎愛好家でつくる日本桃太郎会連合会に加盟しており、同連合会が各地で続けている「桃太郎サミット」が2019年9月、田原本町で開催されました。
※注=712年に完成した日本の神話を含む歴史書。今、残っている中で日本最古の書物。
桃太郎伝説をテーマに行われた歴史講座の様子=2月25日、田原本町阪手の青垣生涯学習センター