歴史文化

質問「家族として13年間飼っていた犬が死んでしまい、立ち直れません」 - 我知(がち)ーお坊さんに聞いてみる(2024年4月3日)

関連ワード:

【質問】

 13年間かわいがっていた犬が病気になり、3カ月前に死んでしまいました。ペットとはいえ家族同然に過ごしてきたのでなかなか立ち直れません。家に帰るたびに出迎えてくれた姿が浮かんできて、もういないんだと毎回胸が締め付けられて苦しくなります。人に話してみても、また新しい犬を飼ったら~ と言われて余計に落ち込んでしまいました。亡くなったことを受け入れて立ち直るにはどうしたらいいでしょうか。(30代 女性)

 

回答 五條 永教(金峯山寺 執行長)

 

我知なヒント=自分自身の心の中の環境は、どのようにでも変えることができる。】

 

 13年間も家族の一員として生活を共にしてきたワンちゃんとのお別れは、さぞかしお辛かったことでしょう。その悲しみが、言葉では言い表せないほどの大きなものであるがゆえに、質問者さまの心の中は、その悲しみで一杯になってしまっているのでしょう。日がたてばたつほどに、その悲しみは小さくなるどころか、さらに大きくなって、心が破裂する寸前にまでなっていらっしゃるのかもしれません。

 

 来る日も来る日も沸き起こってくる悲しみを、無理に抑えようとする必要はないと思うのです。悲しいのですから、そのまま悲しめばいいのではないでしょうか。だから、亡くなったワンちゃんのためにも、もっともっと悲しんであげてください。悲しいという感情は、亡くなったワンちゃんには、愛情となって届いているはずです。そう信じるのです。そう思うのです。だからこそ、思いっきり悲しんであげてほしいのです。

 

 しかしながら、悲しみが、このまま大きくなり続けると、質問者さまの心は破裂してしまいます。そうならないようにするためには、心の中のスペースを大きくするしかないと思うのですが、いかがでしょうか。

 

 それでは、心の中のスペースを大きくする方法を、今からお教えします。それは至って簡単です。次のように思うだけです。「私の心の中のスペースは、たった今、大きくなりました。どれだけ悲しみが大きくなったとしても、決して破裂することはありません」

 

 このように思ったならば、もう心配はいりません。亡くなったワンちゃんは、悲しみとともに、質問者さまの心の中で、生き続けるはずです。これで、亡くなったワンちゃんと触れ合う場所が、これからは、質問者さまの心の中に変更されました。心の中のスペースも大きくなったことですし、亡くなったワンちゃんも生き生きとした表情で、質問者さまの心の中を喜んで走り回っているはずです。

 

 亡くなったワンちゃんは、きっと、質問者さまが笑顔でいてくれることを望んでいるに違いありません。こんな風にして、心の中で一緒に遊んでいる内に、心の中での、亡くなったワンちゃんとの関わり方にも慣れてしまわれることでしょう。

 

 思う/想う/念う、「オモウ」にはいろいろありますが、「オモウ」ことで、自分自身を追い詰めることはやめましょう。「オモウ」ことで、自分自身の心の中の環境は、どのようにでも変えることができるのです。

 

 「私の心の中は、たった今、楽しく、過ごしやすい環境となりました」

 

 亡くなったワンちゃんのためにも、良き環境作りに励んでいただきたいです。

 

【お坊さんへの質問を募集しています】

 投稿はEメール:[email protected]奈良新聞デジタルの投稿フォームからお願いします。

相談・質問内容(400字めど)のほか、性別▷年代(30代など)▷氏名▷住所▷電話番号を明記してください。

掲載は相談・質問内容、性別、年代のみです。その他の項目が出ることはありません。

 

【回答者】

興福寺 辻 明俊さん

金峯山寺 五條 永教さん

秋篠寺 堀内 瑞宏さん

 

【掲載日】

毎月第1、3水曜日「暮らし」のページ・奈良新聞デジタル

こちらの記事も読まれています

特集記事

人気記事

  • 奈良県の名産・特産品・ご当地グルメのお取り寄せ・通販・贈答は47CLUB
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド