奈良の東大寺で聖武天皇祭 - 特設舞台「慶讃能」 幽玄の美で観客魅了

東大寺の盧舎那仏(るしゃなぶつ=大仏)を発願した聖武天皇(701〜756年)の命日の2日、その遺徳をしのぶ「聖武天皇祭」が奈良市雑司町の同寺で営まれた。午前中に聖武天皇を祭る天皇殿で法要があり、午後の大仏殿での法要前には、天皇殿から大仏殿まで僧侶や稚児らによる練り行列が行われ、多くの参拝者が見守った。
法要後には、境内の鏡池特設舞台で、大仏に日本の伝統芸能・能楽を奉納する「東大寺慶讃(けいさん)能」(同実行委員会主催、奈良新聞社主管、柿の葉すし本舗たなか・尾田組・日本料理花鹿・三輪山本協賛、山中雅志・ひかり装飾協力)が行われた。
同寺の橋村公英別当は「日本の文化、歴史を思案された聖武天皇をしのぶ日に伝統芸能を奉納したいと考えたことが慶讃能のはじまり。今年も実施できてうれしく思う」とあいさつ。
この日は観世流の山中雅志さんのシテ(主役)で「野守 小書・白頭、天地之声」を奉納。「野守」は池の水を何事をも写す鏡にたとえて、鬼神がさまざまなものを映し出す物語。鬼神が鏡を手に激しく舞う姿が、同寺の鏡池に映りこむ幻想的な舞台となった。この日、奈良市内は好天に恵まれ、多くの観客が幽玄の世界を楽しんだ。