社会福祉法人慶宗会 迷ったら、進め! - 福祉を通じて真の地方創生を
社会福祉法人慶宗会
インタビュー: 理事長 山本宗大さん
社会福祉法人慶宗会は平成30年2月に奈良県にて法人認可を受け設立された比較的若い法人である。
平成30年5月には、千葉県佐倉市で前運営法人の経営破綻により運営不能に陥っていた特別養護老人ホームの運営を引き継ぎ、「地域密着型特別養護老人ホーム 千年希望の杜 佐倉」を開設した。令和3年4月には念願でもあった、法人を設立した奈良県の地で「特別養護老人ホーム 千年希望の杜 大和郡山」を開設し、順調に経営を拡大している。
この法人を率いるのが34歳の若き理事長 山本宗大さんである。
山本理事長が社会福祉法人を設立し高齢者福祉を志したのには理由がある。
現在我が国の地方では生産年齢人口が都市部に流出し、少子高齢化が進んでいる。真の意味の地方創生を進めるには、このような地域に寄り添って共に歩むべきである。これまでの日本を懸命に築いてきた方々に敬意を込めて寄り添いたい。
自身も岐阜県出身で、祖父母が大好きな子どもであった。やんちゃな反抗期を経ていざ祖父母孝行を、と思った時にはすでに4人とも他界していた。自分が今、高齢者福祉に取り組む原点は、幼少期からの延長だと話す。
「千年希望の杜 大和郡山」を設立した4月は、コロナ禍の真っただ中であった。日本中、いや世界中が大混乱の中にあり、ともすれば新しい一歩に躊躇(ちゅうちょ)しがちな時期であった。しかし、これも一種の産業革命であると山本理事長は考え、迷うことなく新施設開設に駒を進めた。産業革命であるとすれば多様な変革があるはずだ。IT化、リモート化がさらに進み、効率も求められる。しかし、他方で福祉分野は人と人のふれあいなくしては成立しない。そこはどんなに環境が変化しようと絶対に守り抜きたい。質の高い介護には、結局のところ、両方の視点をもって邁進(まいしん)するべきだと力を込める。
今後のビジョンとしては、県外にはなるだろうが100床規模の大規模施設をぜひ開設したいと話す。そこでは研修もできるような体制をとり、各施設の運営の核となる人材を育成し、より高度な介護を追求していくことが目標である。
座右の銘は「迷ったら、進め!」。
これまでも高齢者福祉施設の設立を全国各地で目指し、手を挙げてきた。開設まで進められたことの方が少なく、途中で頓挫したことの方がはるかに多かった。そんな中で縁あって、他府県出身の自分が、縁もゆかりもなかった奈良の地で法人を立ち上げている。これも迷った時に、進む強さがあったからこそ。困難に直面してもぶれずに信念を通して出した結果。「絶対に諦めないという姿勢に少しでも何かを感じていただき、次の世代の礎になることが出来れば、これ以上の生き様はないと思う」と語る。
強さの源は、との質問には、年に一度、南米アマゾンのジャングルでのテント生活、と目を輝かせる。釣り仲間と大型魚を追って渡航しているが、ここ一年はコロナで国内釣行のみ。大自然の中で生存本能をヒリヒリと刺激される日々は何ものにも代えがたい。アマゾンではジャガーの群れに寝込みを襲われた体験も。
「でも今は、日本で事業を作り上げることにも同じくヒリヒリした刺激を感じています」。少年の笑顔でそう話す。