大神神社の「大美和の杜展望台」は、大和…
関連ワード:
大神神社の「大美和の杜展望台」は、大和三山の眺望が美しい場所として知られる。以前訪れた時、三山の辺りに雲間から光が差し、神々しさに打たれた。
逆に三山側から東を望むと、大神神社のご神体である三輪山が美しい円すい形に見える。古代の人々も同じような風景を眺めたろうか。
藤原京の中心に位置する藤原宮は、北に耳成山、西に畝傍山、東に香具山が鎮座する地に営まれた。三山の鎮護が重要な意味を持つことは、続く平城京への遷都の詔(みことのり)に「三山為鎮(しずめをなし)」の一文があることでも明らかだ。
政府は先日、「飛鳥・藤原の宮都」を世界文化遺産の候補としてユネスコに推薦した。残念ながら、藤原京と不可分の関係にある大和三山は、構成資産から除外となった。
資産の核である考古遺跡に比べてその価値を物的に証明するのが難しいとみられるためだ。
世界遺産でなくとも、藤原宮跡を訪れる人々は三山を見渡しその鎮護を感じるだろう。「香具山は畝火ををしと耳梨と相争ひき―」。万葉びとの心は今もその地に息づいている。(増)