27日、文化庁が京都に移転し業務を開始し…
27日、文化庁が京都に移転し業務を開始した。中央省庁の地方移転は明治維新以来初めてで、わが国行政史上の画期だ。東京一極集中の是正に向けた一歩といえるだろう。
文化財の保存活用に関わる部署も移転。歴史を持つ社寺や遺跡などが集中し、多くの国宝・文化財がある本県にとっても国の文化財行政の指令塔が近くに来るメリットはある。
しかし、多くの文化財を持つ県内の社寺関係者に聞くと、文化庁移転を必ずしも手放しでは喜べないという。文化財の保存修理などには文化庁だけでなく、他省庁や地元選出国会議員、経済界などの支援が必要。
これまでは東京に行けばすべての関係先を回れたが、今後は京都と東京で二度手間となる。物理的な距離が近くなっても、国との「距離感」が狭まったとはいえない。
23日に告示された知事選でも、さまざまな場所との距離感や関係性が問われる。国の予算を握る中央省庁や国会がある東京か、経済的・人的な交流が深い大阪か。
どちらも重要であり、それぞれを主張する候補者たちの話に注意深く耳を傾けたい。(法)