虎に翼をつけて放つようなもの―。天智天…
虎に翼をつけて放つようなもの―。天智天皇の死の直前、持病を理由に出家して吉野へ向かった大海人皇子を誰かがこう評したという。日本書紀が記す古代最大の内乱、壬申の乱の幕開けだ。
天智天皇の死後、大海人は吉野を脱出。東国の兵を集めて各地で天智の子、大友皇子の軍を破り、飛鳥浄御原宮で即位し天武天皇となった。
今年は壬申の乱から1350年の節目。県の「なら記紀・万葉」ホームページに関連コーナーが作られ、有識者のインタビューや創作落語などで乱を紹介している。
その中で、相原嘉之・奈良大学准教授は「現代社会につながる天皇制や国の法律・制度など、法治国家の基盤を完成させるきっかけとなった」と乱の歴史的な意義を解説。「古代日本のターニングポイント」と評価する。
にもかかわず、小中学校の歴史教科書での扱いは思いのほか小さい。同じ内乱でも源平合戦や関ケ原の戦いなどと比べると、一般の人の認知度は低いといわざるをえない。
県内には関連した遺跡や史跡などが多数点在する。休日に訪ね歩き、乱についてを学びたい。(法)