防火訓練用に仏像寄贈 金峯山寺・妙法院が県広域消防組合に 先代住職が製作
金峯山寺(奈良県吉野町)塔頭(たっちゅう)の妙法院(五條永教住職)が文化財防火訓練用の仏像7体を県広域消防組合に寄贈し、30日、受納式と感謝状の贈呈式が橿原市の同組合消防本部で行われた。いずれも木像で、文化財防火デーの訓練などで活用される。
寄贈された仏像は同院の故五條覚照前住職が彫ったもので、阿弥陀如来、四天王、坐像、僧兵の7体。どれも高さ約1メートルで人が抱えて運べる大きさ。同院には覚照さんが彫った100体ほどの仏像が未完成の状態で残されているという。
県広域消防組合が毎年の文化財搬出訓練で段ボールを仏像に見立てて使用しているのを知った五條住職が、「木造の仏像を訓練に役立ててもらえたら」と申し出て寄贈が決まった。
受納式では五條住職が同組合消防本部の岡本寿広予防部部長に仏像を手渡し、岡本部長から感謝状が贈られた。
五條住職は「皆さまのお役に立てるのであれば先代も喜んでくれるのでは。本日から(仏像も)公務員として活躍してもらえたら。遠慮せず積極的に活用してほしい」と話し、岡本部長は「われわれは貴重な文化財を守るのが使命。活動を理解し寄贈いただけたことは身に余る光栄。有効に活用させていただく」と感謝した。
寄贈された仏像は、毎年1月の文化財防火デーに合わせた訓練のほか、県内各地の文化財防火訓練で使用する予定。
文化財防火デーは1949(昭和24)年1月の法隆寺金堂の火災を教訓に設けられた。