【深掘り】曲川遺跡の調査成果一堂に - 「歴史に憩う橿原市博」で夏季企画展

奈良県橿原市を代表する遺跡の一つ曲川遺跡。長年にわたり実施されてきた発掘調査の成果をまとめた夏季企画展が、同市川西町の「歴史に憩う橿原市博物館」で開かれている。展示資料のほとんどが初公開の出土品。縄文時代から中世にわたり営まれてきた人々の暮らしの姿を“深掘り”して紹介している。曲川遺跡とはどんな遺跡なのだろう。(竹内稔人)
曲川遺跡は橿原市の西部に位置。遺跡の範囲は東西800メートル、南北900メートル。戦後まもなく遺跡の存在が明らかになり、大型商業施設や京奈和自動車道などの建設に伴い調査が進められてきた。
遺跡発見のきっかけとなったのは、今は埋められている曲川池から見つかった土器。煮炊き用の甕(かめ)は球形で、尖ったような底の形が特徴。曲川池の土器は、弥生時代の弥生土器から古墳時代の土師器へと移り変わる途中の段階の資料と評価され、「曲川式」と名付けられた。
その後、各地で同時期の遺跡の調査が相次ぎ、良好な資料が増加したことで「曲川式」の名は使用されなくなったが、市文化財保存活用課の杉山真由美主査は「考古学の研究の進展に大きな役割を果たした」と評価する。