世襲の巫女が平和と健康を祈り - 春日若宮おん祭「御湯立(みゆたて)神事」

大和路の師走を彩る伝統行事「春日若宮おん祭」が15日、奈良市内で始まった。同市餅飯殿町の大宿所では、奉仕者や参拝者の身を清める儀式「御湯立(みゆたて)神事」が営まれた。
儀式の作法を世襲で受け継いだ湯立巫女(みこ)を30年以上務める加奥満紀子さん(65)=大和郡山市若槻町=が行った。湯を沸かした大釜の前で祝詞を奏上し、酒や米、米粉を丸めた団子を注いだあと、「サヨーサ」という掛け声とともに煮え立つ湯をササにつけて周囲に振りまいた。
加奥さんは「みなさんが平和に暮らせるように、また自身の健康も祈って勤めた」と話していた。
地元商店街によっておん祭の名物料理「のっぺ汁」などが振る舞われ、大勢の参拝者でにぎわい、夕方には、祭りの無事を祈る大宿所祭も営まれた。
おん祭は今年888回目を迎え、あす17日は時代行列が練り歩く「お渡り式」が営まれる。