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太陽光とLED併用 「アグリテックプラス」 - 奈良の自慢企業(16)

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アグリテックプラスが国内での普及を目指しているハイブリッド型植物工場

「植物工場の新しいカタチ」

 

 「植物工場」と聞くと、外部と遮断された屋内で温度や光量が管理され、入退室も制限されるような無機質な空間を想像するのではないだろうか。田原本町にあるアグリテックプラスが提案するハイブリッド型植物工場は、そういったイメージの植物工場からすると拍子抜けするほど簡素で身近な印象を受ける。本社に併設される植物工場も元コンビニの店舗を改装したもので、こんなところに植物工場が~ と思わせるような外観だ。

 

 代表の前田光樹氏は鹿児島県出身で、家業が農業であったことや、「国際花と緑の博覧会」いわゆる花博(1990年)の開催時期と重なったこともあって、植物のバイオテクノロジーに未来を感じ、大阪の園芸専門学校に入った。その後、胡蝶蘭(コチョウラン)の生産販売を行う企業に入社したが、日本の農業発展には世界を見据えたグローバルな展開が必要だと感じ、ほぼ日本には戻らず単身インドネシア、中国、タイなどでバイオテクノロジーを活用した植物のクローン苗の技術指導に従事した。

 

 外から日本を見た時に感じた日本の農業に対する危機感から、「いずれ日本で農業に貢献したい」という思いをカタチにするために自分の有する育種やバイオ技術を活用でき、将来的にグローバル展開が可能と感じたイチゴでの就農を決断した。2017年にはイチゴ農家として「前田ストロベリー研究所」を個人で創業し、現在でも生産販売を続けている。

 

 前田氏は白いイチゴの開発や生産でも著名であり、「パールホワイト」や「真珠姫」といった白いイチゴの生産販売も行っている。アグリテックプラスはイチゴ農家としての前田ストロベリー研究所で蓄積したノウハウをコンサルティングしたり、ハイブリッド型植物工場には欠かせない発砲スチロールの育成ベンチ(特許取得)や独自開発したイチゴの出荷容器などの販売を担当している。

 

 同社が国内での普及を目指しているハイブリッド型植物工場は、太陽光とLED光を併用しており、設置に必要な機材も農業で使う既製品で可能な上、水耕栽培や従来の国内型植物工場と比べても建設コストが大幅に抑えられるメリットがある。またイチゴ以外にもワサビやハーブをはじめ、多用な植物の栽培が可能である。最近では廃校を活用したハイブリッド型植物工場への転用も企画されている。海外に技術が流出する前に、是非国内での活発な展開を期待したい。

 

 (帝国データバンク奈良支店長・近藤穣治)

 

 

 

【アグリテックプラス】

田原本町味間161の2

HP:https://agritech-plus.jp/

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