東大寺で盧舎那大仏慶讃能 幽玄世界を堪能
聖武天皇をしのび、大仏に能楽を奉納する「東大寺盧舎那(るしゃな)大仏慶讃能」(同実行委員会主催、奈良新聞社主管)が15日、奈良市雑司町の同寺鏡池特設舞台で行われた。
春の聖武祭と大仏造立の詔(みことのり)を発した秋、毎年奉納する恒例行事。今年は初代別当に任命された開山良弁僧正1250年御遠忌法要最中とあって、多くの参拝者らが幽玄の世界を魅了した。
演目は仕舞「江口」と「融(とおる)」。続いて山中雅志さんがシテを演じた能「頼政」は平家全盛のころ、戦いに敗れた源頼政が平等院の芝の上に扇を打ち敷き自害するシーンなどを描く。舞台は宇治の里で、老将の無念と憤りがしのばれる。
大阪市内から訪れた会社員男性(45)は「特設舞台の朱の欄干が現在、宇治川に架かる朱塗りの橋に思え、頼政の心中に去来する想いが今によみがえった」と見入っていた。