農事組合法人「上湯川きのこ生産組合」 時間かけて抑制栽培 - ピックアップ 奈良の注目企業(10)
日本政策金融公庫奈良支店 鈴木洋介
「地域で地場の産業をつくる」ことを目的として、1982(昭和57)年に設立された上湯川きのこ生産組合(西竜一代表理事)は、昨年40周年を迎えた。奈良県十津川村上湯川できのこ生産を行うが、西代表理事は「きのこを買いに来たお客さんが、途中で諦めて帰るような所」と苦笑い。現在20人を超える従業員は全員が村民で、20代から80代まで幅広い世代が働いている。
勤続20年を超える西代表理事も地元出身で、いわゆる従業員承継だ。十津川高校を卒業後、当組合に就職し、2018年に前代表の岡本章一氏から事業を引き継いだ。
主力のなめこや、ブナシメジ、エリンギなど同組合の商品は、大きく食べ応えのある肉質が特徴で好評を得ている。通常の促成栽培に比べ、あえて1・5倍の時間をかけ、きのこに刺激を与え続ける抑制栽培を行うことで、大きくおいしく仕上げている。商品はJAならけんの「まほろばキッチン」や近隣の「道の駅」、同社HPからも購入でき、十津川村のふるさと納税返礼品にも選ばれている。
役目を終えた菌床は梅農家などで有機肥料として活用され、SDGsへの取り組みにもつながっている。
西代表理事は「秋から冬は、鍋物などできのこが活躍する季節。十津川産きのこの味覚をぜひ楽しんでもらいたい」と話す。
農事組合法人「上湯川きのこ生産組合」
奈良県十津川村上湯川401の4