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逢香の華やぐ大和 巳年のツチノコ!?と下北春まな(奈良県下北山村)

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心も体も満たされる

ジャバラに笑顔、在来野菜を満喫

明神池=神秘的な明神池のほとりで筆を手にする逢香さん

 

 書家の逢香さんが県内の社寺や名所を訪ねて地域の魅力を発信する「遭香の華やぐ大和」。2025年は、未確認生物「ツチノコ」で村おこしの夢を追い続ける下北山村からスタートです。ミステリアスな池を散策し、在来野菜「下北春まな」をおいしく食べてパワーチャージしました。(木之下伸子)

 

 下北山村は1988(昭和63)年、空前のツチノコブームに沸いた。初めてのツチノコ捕獲イベントに全国から100人、村内50人、取材関係者80人が参加。村内での目撃情報は87年以降途絶えているが、ツチノコに託した村おこしの夢が再燃している。

 

 2023年に設立された一般社団法人「下北山つちのこパーク」はワクワク、ドキドキをキーワードにイベント企画や特産品開発に取り組んでいる。“妖怪書家”の逢香さんは「ツチノコ、楽しみだなあ」と足どり軽く、村の元保育所を改装した事務所を訪ねた。

 

つちのこパーク=下北山つちのこパークの事務所を訪ねた逢香さん

 

 館内にはツチノコ関連の資料パネルやグッズなどが展示され、同法人がこれまでに売り出した衣料品や調味料などの商品もずらり。その中で注目は、かんきつ類「ジャバラ」の果皮を使った入浴剤。村と協働・連携協定を結んでいる奈良女子大学の学生と共同で開発した。

 

 「ジャバラは隣の和歌山県北山村が原産で、下北山村でも栽培されています」とスタッフの太田萌絵さん(28)。入浴剤を溶かした湯に手を浸けた逢香さんは「いい香りが一気に広がりますね。皆さんに届けたい」と笑顔満開。「下北山に行きたいけどちょっと遠いなあという時に、ご家庭で温泉気分を味わってください」とアピールする太田さんに大きくうなずいた。入浴剤は1回分税込み380円で、下北山スポーツ公園内のきなり館売店で販売している。

 

バスソルト=ジャバラの香りの入浴剤を試してほっこり

 

 

 吉兆の「浮木(うき)様」など七不思議が言い伝えられている明神池は、林の中に現れる美しい池。逢香さんは「川もなく、水の出入りは見えないのに涸(か)れることがない。水位が上昇することもあるそうです」と神秘と静寂に包まれつつ、池のコイに餌をやってはしゃぐ一面も。

 

 国道425号を挟んで立つ池神社は修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)が開いたとされる。同神社と境内の巨樹「親子杉・夫婦杉」は日本遺産の構成文化財にもなっている。

 

池神社=雪舞う池神社にお参り

 

 

 「下北春まな」が間もなく収穫期という家庭菜園に案内してくれたのは「畑作りが大好き」と話す橋詰たか子さん(84)。下北春まなは村の風土に適した在来種で、村の人たちが種を残しながら栽培し続けてきた。10月ごろに種をまいて育てる葉物野菜。霜が降りると肉厚になってうまみが増すといい、1月中旬~3月にかけて収穫期を迎える。

 

春まな収穫=収穫した下北春まなは光沢のある緑色

 

 日当たりのいい畑で、「緑がきれい」と息をのむ逢香さんに橋詰さんは包丁を手渡して「どれでもどうぞ。思う存分に」とにっこり。逢香さんは「シャキッって感じ」と感覚を楽しみながら収穫した下北春まなを愛でた。

 

春まなおにぎり体験=逢香さんにふるさとの味を伝授する橋詰さん

 

 「茹(ゆ)でるともう一つ鮮やかな色ですよ」と誘われて、橋詰さんの台所へ。下北春まなは漬物に加工することが多いが、ゆでた葉っぱで作るおにぎりはふるさとの味。広げた葉に特製酢みそをのせ、炊き立ての白ごはんを包む。逢香さんも手際よく“合格点”。「子どもの頃のおいしい記憶は忘れられないもの」と懐かしむ橋詰さんと一緒に下北春まなのおにぎりを味わって、心も体も満たされた。

 

春まなおにぎり=下北春まなで白いごはんを包んだおにぎり

 

逢香の目

とっぷりと日が暮れてツチノコのイルミネーションが点灯した頃、村の魅力を盛り込んだ作品が完成

 

 収録の日は時折、粉雪が吹き付ける冬らしい一日だったが「食はおいしいし、人はあったかくて、心が温まる時間でした。下北山村に来られてよかった」と声が弾む逢香さん。下北春まなのパワーを感じる水墨画と流行(はや)りのリズムに村の魅力を盛り込んだ作品を書き上げた。

 

メモ

◆池神社と明神池

 下北山村池峰1。南部地域連携コミュニティバス(R169ゆうゆうバス)停留所「池峯公園」から約300メートル。駐車スペースあり。神社の公式ホームページあり。電話07468(5)2241。

 

◆きなり館

 下北山村上池原、下北山スポーツ公園内。ゆうゆうバス停留所「池原」。火曜定休。電話07468(5)2001。

 

◆書家/逢香(おうか)

 奈良市在住。奈良教育大学伝統文化教育専攻書道教育専修卒業。6歳から書道を学ぶ。2020年、橿原神宮御鎮座130年記念大祭の題字を揮毫(きごう)。同年、元興寺(奈良市、世界遺産)の絵馬の書・画・印デザインを手掛ける。大学時代に個性豊かな妖怪に興味を持ち、「妖怪書家」としても活動。奈良市観光大使、(一社)モノモン代表。

 

 

 「逢香の華やぐ大和」は奈良新聞社とNHK奈良放送局のコラボ企画で毎月1回掲載。NHK「ならナビ」(午後6時30分~)内で2025年1月14日に放送されます。

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