今でも決して楽ではないが、千年前の岩峰…
今でも決して楽ではないが、千年前の岩峰登山はどれだけ大変だったろうと思う。15日に放送されたNHK大河ドラマ「光る君へ」は、藤原道長の金峯山詣でが描かれた。
道長一行が平安京を出発したのは寛弘4(1007)年8月2日未明。奈良市の大安寺や高取町の壷阪寺に泊まるなどして歩みを進め、山頂直下の宿坊に到着したのは10日だった。
道中は雨の日が多く、ドラマで描かれたように山上ケ岳(金峯山)への登りは雨の中で強行された。今のような装備もなく、滑りやすい岩場の登りは大変だったに違いない。
金峯山詣での様子を詳しく知ることができるのは、道長の日記「御堂関白記」があるからで、山上で営んだ祭典の様子は特に詳しい。
山頂直下に立つ金峯山寺本堂の近くでは、大量の灯明皿が県立橿原考古学研究所の調査で2005年に出土、道長が祭典でささげた「百万燈」に当たるとして注目を集めた。膨大な数の灯明皿を運ぶ労苦がしのばれる。
今も多くの人々が詣でる山上ケ岳。今月23日には本堂の戸閉め式があり、やがて厳しい冬が訪れる。(増)