大阪・関西万博が掲げるテーマは「いのち…
大阪・関西万博が掲げるテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。世界から賞賛される成果を望む。ただ2年後の「戦後80年」も忘れまい。
先日、韓国の大法院(最高裁)で下された判決が注目された。旧日本軍慰安婦問題を扱った書籍『帝国の慰安婦』(日本語版は2014年発行)を巡ってだ。
元慰安婦の名誉を傷つけたとして名誉毀損(きそん)罪に問われた著者、朴裕河(パクユハ)・世宗大名誉教授の上告審。判決は罰金刑を破棄、高裁に差し戻した。
朴氏は執筆の動機について、元慰安婦は戦争のではなく、「植民地支配」の犠牲者だということを明らかにしたかったからだとした。
作家の故・田村泰次郎は中国で戦争を体験。戦後に『春婦伝』『蝗(いなご)』といった、「慰安婦」が登場する小説を書いた。朴氏も著書で触れているが、貴重な「証言」でもある。
今回の判決は、日韓両国で今後も尾を引いてゆくだろう。戦争の記憶と歴史をどう受け継ぐかという戦後世代の宿題として。万博が描く未来社会は、過去の歴史を踏まえた展望でもなければならない。(北)