不思議な絵本に出合った。絵本だが写真が…
不思議な絵本に出合った。絵本だが写真が大半。だから「写真絵本」とも。「谷川俊太郎・作 大久保千広・写真」。40年ほど前の発行だ。
その絵本とは『しんすけくん』。「これは ぼくの すんでいる ほしである」で始まり、「ではまた いつかどこかで あおう」で終わる。
30ページほどの絵本で、主人公の「しんすけくん」が自己紹介している。彼は多分、小学生。誕生日に発刊された新聞の写真から、彼が1973年7月14日生まれだと分かる。
文は昨年11月に亡くなった詩人の谷川さん。写真は桜井市在住の大久保さん。『週刊文春』のグラビア面を飾った数々の「現場」写真をものにしたカメラマンだ。
谷川さんは絵本作家でもあった。詩人・絵本作家と、生々しい現場の写真を撮り続けていたカメラマン。その結び付きが不思議な絵本になった。
大久保さんは現在、県内発行の月刊文化誌『ならら』に「奈良のむかし話」を連載中。これも写真と文のコラボだ。連載以後のことも構想しているようで、『しんすけくん』などとはまた違った不思議な世界を期待したい。(北)