俳句や川柳、短歌などは素養がないので作…
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俳句や川柳、短歌などは素養がないので作ったことはない。だが、季語や単語の勉強になるので時折、文芸欄を見ている。
5日付10面「奈良柳壇」(北谷敦美さん選)の課題は「碑」。「牧水・晶子・赤人」といった歌人の碑、「原爆・慰霊・忠魂」といった戦争にまつわる碑、「襟裳岬・津軽海峡」といった歌謡曲の碑など、実に多彩な作品が集まり、読みごたえがあった。
碑(いしぶみ)といえば、「聖職の碑」という小説を思い出す。「強力伝」で直木賞を受賞し、山岳小説で名を残した作家、新田次郎の1976(昭和51)年の作品である。
「聖職の碑」は1913(大正2)年8月26・27日に、中央アルプス・木曽駒ケ岳で起きた大量遭難事故を題材にしている。
地元の高等小学校(現在の中学校)の生徒・教師ら38人が、予想外の出来事に巻き込まれ、荒天のなかの下山中に低体温症などで11人が死亡した事故である。78年には映画化もされた、教育県・長野で起きた悲劇であった。
碑はいろいろあるが、そこに込められた関係者の思いを語り継ぐことも大切なことであろう。(恵)