奈良市内に昨秋、大和ハウスグループのみらい価値共創センター「コトクリエ」が開設された。人が集い、考え、学ぶことで新たな価値を生み出し、未来社会で活躍する人材の育成を図る施設だ。

　5月には子ども向けワークショップがスタート。万葉植物が育つ施設内の庭園も会場だったが、実はこの場所は成長する。

　50年、100年後を見据えて植樹や保護を実践し、森へと進化させるらしい。自身は完成形を目にできないだろうが、森の様子や憩う人々の姿を思うだけで何かうきうきする。

　多様な植物が茂る緑の一帯は生き物を迎え入れ、人も引き寄せる。空気が変わる空間でのひとときは新たな思考を呼び起こす可能性もある。

　工場も多い施設周辺は遠い先、社会の価値観とともに大きく様変わりしているかもしれない。それでも自らよりも、まだ見ぬ人を含む未来人に現在より一層快適で心落ち着く世界をつくり、残そうとする姿勢に共感を覚える。

　きょうは参院選公示日。当選者には地元の声を国政に生かす役目があろうが、自分のいない未来のためにの視点にも期待している。(智)