高松塚古墳の極彩色壁画は、21日で発見…
高松塚古墳の極彩色壁画は、21日で発見から50年の節目を迎えた。修理を終えたとはいえ、「飛鳥美人」として知られる女子群像をはじめ、各壁画の劣化ぶりが痛々しい。
今後整備される展示施設での公開が、文化財の保存と活用、明日香村の将来像について改めて考える契機になればと思う。
壁画が発見されたのは昭和47年3月だが、同じ年に起きた戦後史に残る出来事の多さに驚かされる。
壁画発見の約1カ月前に連合赤軍による浅間山荘事件があり、札幌冬季五輪の開幕も同じ2月。5月に大阪の千日デパートで起きた火災では118人が犠牲になった。
沖縄県発足、日中国交回復、イスラエルのテルアビブ空港では日本赤軍によるテロ事件もあった。グアム島で発見された旧日本軍兵士、横井庄一さんが「恥をしのんで帰ってまいりました」と帰国したのも同じ年だった。
社会が大きく波打っていた時代、高松塚古墳の壁画発見も大きな波の一つだった。そんな中、壁画の将来を冷静に考え、保存を国に託した調査関係者の英断は、50周年の今、改めて評価されるべきだろう。 (増)