取材後に立ち話をしていたら、尻ポケット…
取材後に立ち話をしていたら、尻ポケットに差したノートを鹿がかじっていた、そんな経験ができるのは奈良県だけだろう。
奈良の鹿愛護会のホームページによると、奈良公園の鹿の主食はノシバ。バリバリと引きはがすように食べる音が小気味よい。他にもササやドングリ、枯れ葉などを食べて鹿たちは大きな体を維持している。
観光客が与える鹿せんべいは鹿の「おやつ」で、米ぬかを原料に作られる。一方で、観光客が残した紙やビニール袋は誤食した鹿の健康を脅かしてきた。
それなら鹿せんべいと同じ材料で紙袋を作ってみては。そう考える企業人が現れた。企画卸売業「ならイズム」の松川英朗社長は紙の加工業者や印刷業者に呼び掛け、米ぬかと再生パルプを使った「鹿紙」を開発、「奈良シカない紙袋」の製造を始めた。
すでに地元の信用金庫が使用しており、松川社長らは「鹿と地球環境を守るためにぜひ活用を」と呼び掛けている。
誤食の負担を減らす製品で鹿に与えるものではないが、奈良ならではのアイデア。活用は企業イメージの向上にもつながりそうだ。(増)